映画感想06 - 悪の法則

ブラッド・ピット、ベネロペ・クルス、キャメロン・ディアスなど、豪華な顔ぶれが並ぶ映画にも関わらず、ド派手な演出や奇をてらった設定は皆無。悪事に手を染めた人間の末路がどうなるのか? ただただその一点に絞った硬派なまでの脚本がポイントで、「弁護士さん」という役名の主人公を取り巻く環境の変化(=悪化)をゾクゾクしながら見守る映画だった。『アウトレイジ』にも似た空気感はあれど、台詞回しの重みはこっちに軍配が上がるかなーと。殺し方はシンプル。追い込み方も残虐。死が日常化しているメキシコの裏社会の冷たさが端的に表現されていた。

監督はリドリー・スコット。そして脚本は『ノーカントリー』のコーマック・マッカーシーと聞いて納得したというか。あの映画も淡々とした恐怖を描いていて、ハビエル・バルデムが超絶怖かった。本作はキャメロン・ディアス演じるマルキナが鍵となって全体を掌握している。妖艶すぎる謎の女性を演じていて、実年齢よりも老けた“セレブな色狂い50歳ババア”っぽく見えてより恐怖が増した。紫外線浴びすぎてるのかな? ヒョウ柄のタトゥーや車のフロントガラスでセックス(?)するシーンとか、マルキナの背景を一切語らない演出に寒気を感じる。なんなんだアイツー!こえええぇ!

原題は『The Counselor(弁護士)』で、邦題は『悪の法則』。邦題の評判も悪いし、CMの打ち出し方が悪かったのか「思ってたんと違うー!」という意見も多かったし、そもそもアメリカでもコケたとかなんとか。現実的な悪人の日常をドライに描いた作品ーーそんな前提で観れば結構おもしろい映画だと思う。ネタバレになるけれど、ブラッド・ピットの死に様と主人公の弁護士が絶望に陥った演技は最高だったなぁ。奇しくも『セブン』のラストシーンで迫真の演技を見せたブラッド・ピットとダブって見えたのも感慨深い。